『統計』 2012 年 1 月号 アメリカの財政問題をみる 1 .はじめに 2010 年 11 月の中間選挙での大敗により、オバマ大統領は以降、あらゆる政策の遂行にさいして大きな壁に突き当たることになった。レイム・ダック下での 12 月の妥協案(「ブッシュ減税の延長」と「失業給付の延長」)はその最初であった。 その後、重大な問題となったのが財政問題である。予算の均衡化(赤字の解消)ならびに国債の累増を抑えるという点では、いまや大統領・民主党と共和党のあいだで合意が得られているが、いかにしてそれを達成させるかで激しい対立が続いている。 本稿ではアメリカの財政問題を取り上げ、その現況をみるとともに、それがアメリカ経済にとってもつインプリケーションについて考えてみたい。 2. 財政赤字 アメリカはクリントン大統領の時代の後半 (1998-2000 年 ) には財政黒字を達成していた。 1990 年代の後半、アメリカ経済が IT 産業に牽引されるかたちで力強い成長を実現していたため、税収が大幅に増大したからである。 だがドットコム・バブルの崩壊 (2000 年 ) 、アルカイダによる世界貿易センター・ビルの破壊( 2001 年 9 月)により、アメリカ政治・経済に危機的な問題が発生したさい、2つのことが決定された。第1に、対テロ戦争と位置づけられたアフガニスタン紛争 (2001 年 10 月 - ) およびイラク戦争 (2003 年 3 月 - ) 、第 2 に、「ブッシュ減税」( 2001 年および 2003 年)ある。大幅な減税と軍事支出の結果、財政は大幅な赤字に転じることになった。 2007 年度 (2006 年 10 月 1 日 - 2007 年 9 月 30 日 ) 1610 億ドル、 2008 年度 2480 億ドル、そして 2009 年度にはじつに 1 兆 4130 億ドルに膨れ上がった。こうしてブッシュ政権のときに大幅な財政赤字は常態化していた。 オバマ大統領はこの「遺産」を継承するかたちで、最悪の経済状況下で政権を担当することになった。当初は景気回復に主眼が置かれており、それが「アメリカ復興・再投資法」 (ARRA. 2009 年 ...
投稿
1月, 2023の投稿を表示しています